特 集特 集
二千年の恋 A.D.2000 -Don't shoot her-
中山美穂、金城武共演によるフジテレビ系、月曜９時放送の連続ドラマ 二千年の恋 の特集ページです。このページでは主にドラマのスタッフ・出演者データを中心に、毎回のあらすじや気になる話題などを掲載していきます。ドラマが終了する３月末までの期間限定で、内容を随時更新していく予定です。
フジテレビ系 2000年1月10日〜3月20日放送(全11回) 月曜夜9:00-9:54
脚本/藤本有紀、浅野妙子、尾崎将也、大森美香 演出/河毛俊作、中江功、澤田鎌作、西浦匡規
プロデュース/小岩井宏悦
協力プロデュース/本間欧彦(7話〜)
主題歌/「Yesterday & Today/Do As Infinity」(avex trax/2月23日発売)
音楽/S.E.N.S. サウンドトラック「Future」(BMGファンハウス)
制作/フジテレビ
出演/ 中山美穂(真代理得)、金城武(野上)
宮沢和史(佐伯健志)、Fayray(ナオミ・ナーギン)、東幹久(今富成次)
仲間由紀恵(真代まりあ)、立川政市(松宮)、村田充(カイ・モリモト)
岸博之(岩岸)、井之上隆志(宇津井)、中村育二(中浦)
ジョニー吉長(ビクトル・マロエフ)
●第１話 あらすじ●
1999年のクリスマスイブ、偽造パスポートを持ったアジアのあるテロ支援国の工作員の男（金城）が、日本である重大な任務を遂行するため、同じく工作員の弟（松尾）と共に飛行機で日本へ侵入した。しかし空港で入国審査官に怪しまれ、二人は逃亡。その途中に負傷した弟を殺して男は追っ手から逃れた。その頃、コンピューターのシステムエンジニアの真代理得（中山）は、2000年を間近に控えて慌ただしい毎日を送っていた。彼女は現在の仕事も順調で満足しているが、時折訪れる孤独感から日々の日常生活に物足りなさを感じていた。
一方、空港で取り逃がした男が、祖国への政策に反対し日本への亡命を希望して現在警察庁に保護されている化学研究所所長（ジョニー吉長）の国の人間だとわかった警視庁・外務課所属の警部の佐伯（宮沢）は、執拗に彼を追及。佐伯には、25年前にテロ事件で家族を失ったつらい経験があった。
そして大晦日の夜、2000年問題のため一人で会社に残って待機していた理得は、外務省からコンピューターの問い合わせを受けて出向き、そこで野上と名乗る男と出会う。彼こそ、外務省職員になりすまし潜入した工作員の男であった。男は言葉巧みに理得に言い寄って、極秘のパスワードを聞き出そうとするが失敗。その帰り、理得はエレベーターで男と一緒に2000年を迎えるが、その瞬間にトラブルでエレベーターが途中階で停止してしまう。しかし、男は冷静に行動し持ち前の機敏さであっという間に理得を救い出し、そのまま消えてしまう。
その後、７年前に亡くなった母親の法事で実家に帰った理得だが、妹で女子大生のまりあ（仲間）のことが心配。同棲しているヒモ同然の男・成次（東）にいいように扱われ、今日も法事で集まったお供えのお金を根こそぎ持って行ってしまったのだ。
一人で街を歩く理得。手には中身のわからない小さな包みが。大晦日の夜の出来事で男が落としていったものらしかった。その時、見知らぬ男（村田）が突然彼女に襲いかかり、鞄を奪おうとするが間一髪のところで別の男に助けられる。その男こそ、大晦日の夜に出会った野上と名乗るあの男だった。実は彼女を襲った男も彼の仲間で、もう一人の女性工作員（Fayray）と一緒に練った計画の一つだった。
助けてもらったお礼にレストランで一緒に食事をする二人。テーブルで気の利いた会話で理得を楽しませる男だが、その反面時折見せる冷めた眼差し。途中、彼女は電話が入って席を立つが、それも実は彼らが立てた作戦で、その間に男に鞄の中身を探られて ID カード、そして外務省のコンピューターに侵入するパスワードを盗まれてしまう。楽しい一時を過ごし、別れた２人。理得は男に拾った包みを返し、同時にいつしか彼を意識している自分に気付く。
その頃、男は利得の ID カードを使って外務省に侵入。盗んだパスワードを入力、機密情報を盗み出し、その帰り道に戸惑うことなく理得のカードに火を着けて証拠隠滅を図るのだった。
●第２話 あらすじ●
理得（中山）を騙して、外務省のコンピューターから機密情報を手に入れた工作員の男・野上（金城）。その情報とは密かに彼らが追っている、男の父親であり国を裏切った敵でもある科学者・ビクトル（ジョニー吉長）が潜伏しているホテルを示したものだった。仲間のナオミ（Fayray）は情報を元にホテルへ侵入し、ビクトルがオペラ鑑賞に出掛けることをつかむ。国からの命令でもあるビクトルの抹殺計画。野上は当日の会場で彼を狙撃することになる。父親を殺すことに葛藤を覚える野上だったが、自らに科せられた使命を胸に準備を進める。その一環として男一人では目立つ会場への潜入に役立って人質にも使えることから、この前のお礼と称して理得をオペラ鑑賞に誘うのだった。
理得を誘いに野上が家を訪ねて来たちょうどその時、頬をけがした妹のまりあ（仲間）が保険証を取りに戻って来た。彼女を見た野上は、けがは男に殴られたものだと指摘。逃げるように帰ったまりあを心配した理得は、抗議をしに同棲相手の成次（東）のマンションを訪ねるが、逆にまりあに追い返されてしまう。
同じ頃、職場に訪ねて来た理得の父親（田村）。父親が不倫で家を出てその心労がたたって急死してしまった母親を思い出し、やり切れない思いの理得。幼い頃の優しかった父親を思い出す。そんな彼女に、父親は冷たく母親の法事はもう連絡不要と言い放ち、静かに去ってゆく。次第に離れ離れになっていく家族の絆に、理得は激しい孤独を感じずにはいられなかった。
オペラ鑑賞の当日。野上に対する警察の警備は日に日に厳しくなっていき、会場内もビクトルを囲むように警備が張り巡らされていた。その指揮をとるのが、警視庁警備局所属の佐伯警部（宮沢）だった。警備網をかいくぐり、野上は理得と一緒に会場へ潜入。密かに狙撃のチャンスをうかがっていた。オペラの一幕が終わり休憩時間、ビクトルがある人物に情報をリークする現場を目撃した野上は、彼の後を追ってロビーへ向かう。階段を降り真正面に父親の姿を確認し腰に隠した銃に手をかけたその瞬間、野上のところへ理得が駆け寄り間一髪のところで狙撃のチャンスを逃してしまう。唇を噛む野上の様子にあやしんだ佐伯が駆け寄る気配を感じ、咄嗟の判断で彼は理得の唇にキス。驚く理得に、苛立つ野上は冷たい言葉を残しそのまま立ち去ってしまう。一人残された理得は困惑し、いつまでもその場にたたずんでいた。
アメリカのCIAに国の重要情報を渡したことで、ビクトルの亡命先が決定。そのニュースは警視庁にも届いて一同はほっと胸を撫で下ろすが、ただ１人、佐伯はそのことで激化が予想される野上たちとの攻防に一抹の不安を感じずにはいられなかった。
数日後、野上が先日のことを謝りに理得を訪ねて来る。理得は優しく声をかけ、自分はもう怒ってないこと、そして時折見せる表情などから感じる野上の背負っているものの大きさを心配するが、彼はなにも言わずに帰っていく。そんな野上を呼び止め、理得はあの時と同じように、そして今度は優しく彼の頬にキスをするのだった。
●第３話 あらすじ●
日が経つにつれ、ますます野上（金城）にひかれていく理得（中山）。最近、野上からの連絡もなく心配な理得は彼に連絡をとろうと勤務先である外務省に電話をするが、あいにく彼は不在。その頃、テレビのニュースでビクトル（ジョニー吉長）がアメリカへ亡命することを知った野上は、仲間のナオミ（Fayray）らと次なる作戦を練っていた。
理得が家に帰ると妹のまりあ（仲間）が遊びに来ており、理得にキャバクラをやめることを告げる。少し安心した理得は笑顔でまりあを家から送り出すが、家の前には同棲相手の成次（東）が待っており、不安そうなまりあを急いでどこかへ連れてゆく。
電子メールや電話でも連絡が取れない野上に思いを募らせながら、理得は直接彼のいる外務省へ。その入り口で偶然に野上と再会。実は野上は仲間のナオミと一緒に外務省へ潜入するため近くまで来ていたのだが、その時に理得を見つけ偶然を装って近づいたのだった。近くの喫茶店でお茶を飲む２人。野上は、理得に長年の父親との確執と最近弟が亡くなったことを話し、父親のビクトルに手紙を渡して欲しいと頼む。野上に元気を取り戻して欲しい理得は、その話を信じて力になろうとする。感謝した野上は、理得に自分の携帯電話の番号を教える。
その日、ビクトルの潜伏するホテルの部屋に、彼の命を狙う者から電話がかかる。実は同じホテルの中から野上がかけていたのだが、ビクトルの周辺を警護する佐伯警部（宮沢）ら現場は大混乱。その際、ビクトルは電話の相手とロシア語で会話。電話は切れ、佐伯らは捜査に乗り出すが、警備陣の不手際を嘆きながらビクトルは部屋を出て行ってしまう。その後、録音された電話の音から相手がホテルの中にいることを知った佐伯は、直ちに緊急配備。一方、ビクトルは警護の隙をついて一人でホテルの屋上へ向かっていた。電話の相手らしき人物がエレベーターで下へ向かったという情報で先回りして待ち受ける警備陣だったが、扉が開いて出て来たのは男ではなく若い女。なにも知らない理得が、言われるままビクトルに手紙を渡し、エレベーターで降りて来たのだった。その頃、野上は父親のビクトルに会うために、理得とは逆にエレベーターで上へ向かっていた。
ホテルの屋上で野上はビクトルと対面。野上は、亡命前に弟が死んだことを伝え、自分が弟を殺さなければならない状況に追い込んだ父親を非難、激しい怒りをぶつける。ビクトルはいまでも家族や息子の彼を愛していることを伝え、自分が亡命する日を教えてその時に殺せと語る。その直後、２人のいる屋上へ駆けつけて来た佐伯だが、相手は既に逃げた後。野上をホテルの前で待っていた理得は、優しく彼が抱える秘密を聞き出そうとするが逆に冷たくあしらわれてしまう。
沈んだ気持ちで帰宅した理得を待ったいたのは、まりあと成次。成次はどこから調達したのか、母親の法事で持ち逃げしたお供えのお金を返す。そして成次はまりあが席を外した間に、理得にまりあが出演しているいかがわしい内容のビデオを見せる。すべてを悟った理得は、激しく成次を責めるがそれでも彼を好きでいるまりあを見てなにも出来なかった。
次の朝、会社へ向かう理得の前に野上が現れる。この前のことを詫びる野上に、理得は優しく声をかける。いい雰囲気の２人。理得の手が冷たいと、自分の手袋を貸す野上。ぶかぶかの手袋に思わず笑みがこぼれる理得に、相変わらず野上の顔は暗い。再会を約束して別れる２人。しかし野上は２度と理得とは会わないことを自分の中で決意し、その後誰もいない場所で連絡用の携帯電話を壁に叩き付ける。
一方、捜査を続ける佐伯はホテルの防犯カメラに写っていた理得を、鍵を握る人物として捜し始めていた。その際に彼女が持っていた封筒のロゴから勤務先の会社を突き止めた佐伯は、部下を引き連れ急いで理得の勤める会社へ向かう。
外務省から突然の呼び出しで向かった理得。初めて野上と食事をした夜に、盗まれたIDカードが不正使用したことを知らされた理得は、正直にその夜のことを告白。事実を確認するためその場に野上を呼んでもらうが、現れたのは別の知らない顔の「野上」だった。ショックでその場に立ち尽くす理得。彼女の中では信じられない思いが渦巻いていた。
●第４話 あらすじ●
自分が好意を寄せていた野上という男（金城）は一体誰だったのか？ 理得（中山）は、外務省の会議室で自分が知るのとは別人で本物の野上に会って激しく動揺。また佐伯警部（宮沢）率いる警察では、理得がホテルで男とビクトル（ジョニー吉長）の橋渡しをしたことで、事件の関係者として彼女の尾行を開始する。それを知ったナオミ（Fayray）は、理得の口から秘密が漏れるのを避けるために仲間のカイ（村田）に彼女を殺害するように命令する。
そんな危険な状況を知らない理得は、気を紛らわせるため仕事仲間を誘って飲みに行く。帰り道、理得はカイに襲われ後ろから背中に銃口を突きつけられるが、状況を聞いて駆けつけて来た男に間一髪のところで救われる。野上と名乗る男と再会した理得…、しかし命を助けてもらっても彼女は素直には喜べない。彼女は男に「あなたは一体誰？」と思いのすべてをぶつけるが、男は「知らなくていいこと」と何も言わずに去ってゆく。理得は、呼び止める名前すら知らない男の背中をただじっと見つめていた。
その日、帰宅した理得を待っていたのは妹のまりあ（仲間）。理得はまりあにあの男との話をするが、逆にまりあは理得にその人の本当の部分を好きになったのではないかと励ます。そしてまりあは、理得に同棲相手の成次（東）の子供を身篭ったことを報告し、妊娠を喜ばない彼のところを出て来たのだと告げる。まりあは成次の子供を産みたいようだ。翌朝、やっぱり自分の子供だからと迎えに来た成次を信頼し、理得はまりあを托す。２人でマンションに帰り、嬉しくて仕方がないまりあだが成次の顔はこころなしか曇っていた。
１月30日。ビクトルが亡命する日、ついに警察が理得に接触。佐伯の口から、男の正体や犯した罪、これから彼がしようとしていることを聞かされた理得。男が理得に近づいたのは、外務省の情報を得るためだと知った彼女はいままで以上にショックを受ける。暗い気持ちで帰宅した理得のもとに、１本の電話がかかってくる。
電話は、父親を殺すために立ち寄り先の大学の構内で潜伏する男からだった。男は、素直に声が聞きたかったことを告げ切々と話し、理得は彼の話から現在置かれている状況や苦しみを知り、再び彼への思いが燃え上がる。これから父親を殺すことへの重圧に耐えながら、必死に話す男。最後に男は「理得…」と言い、一度言ってみたかったと一方的に電話を切ってしまう。その直後、居ても立っても居られない理得は、佐伯から聞いていたビクトルが飛び立つ先の横田基地へタクシーを走らせる。
警察の護衛を連れて横田基地へ向かうビクトルの車だが、突然の彼の希望で昔留学していた大学に立ち寄ることになる。周りに警護のものを従えて思い出の教室に向かうビクトル。その時別のフロアで激しい爆発音。松宮（立川）１人を残し、ビクトルを警護していた刑事たちは音のした方向へ向かうが、駆けつけた刑事や佐伯が見たものは教室に仕掛けられた時限爆破装置だった。犯人にはめられたことに気付いた佐伯は急いで松宮を呼び出すが、彼は既に男に激しく頭を殴られてビクトルは連れ去られた後だった。
誰もいない教室で親子の対面をした２人。男は再び父親のして来たことを非難し、これまで家族が受けて来た苦しみなどを話す。父親は自分のして来たことを素直に詫びながらそれによって助かる国の人のことを説明し、男に今後の家族のことや国の未来を託そうとする。それにはこの場で自分を殺すことが必要と、最後までためらう男の拳銃に自分から手をかけ静かに引き金を引くのだった。床に倒れた父親を見て言葉にならない男。しかし死ぬ前に父親からお前は生きることが必要と言われたことを思い出し、悲しみにくれながらも必死にその場を脱出。途中、追いかける佐伯に拳銃で一発撃たれて負傷するが、なんとか人気のないところまで逃げ延びる。
一方、横田基地に向かう理得の乗ったタクシーは途中で激しい渋滞に巻き込まれていた。その時、ラジオのニュースで事件のことを聞いた理得は、ちょうど通りかかった大学の前で下車。どうにか逃げ延びた男は撃たれた傷をかばいながら自殺をしようと銃口をこめかみにあてがうが、父親の言葉が頭をよぎり銃を下ろす。その頃理得は、大学の前にたくさん集まった警察や関係者の車や人の前でただ茫然と立ち尽くしていた。
●第５話 あらすじ●
ビクトル（ジョニー吉長）を殺害し、逃げる途中に佐伯警部（宮沢）の拳銃で脇腹を撃たれた男（金城）は、痛む身体を引きずりながらなんとか現場からの逃亡に成功。そして同時に、理得（中山）の前からも姿を消した。
事件があってから、男のことが気掛かりで仕事にも身が入らない理得。加えて会社からは、今回の事件に関して彼女に警察からの問い合わせが入ったことで厳しく注意される。佐伯からも男の居場所について心当たりがないか再三聞かれるが、もちろん何も知らない自分に答えられるはずがない。佐伯から、男が拳銃で撃たれて負傷していることを知らされた彼女はますます心配になってゆく。
そんな気持ちのまま会社からの帰途に着いた理得は、ふと男との思い出の教会を思い出し自然に足が向いてしまう。その頃、男は理得が向かう教会に身を隠して自らの手で父親を殺した苦しみと、身体に受けた傷の痛みに苦しんでいた。偶然に教会で再会した２人。理得は目の前で苦しむ男を放っておけるはずもなく、警察に見つからないように連れ帰り、自宅にかくまうことにする。しかし予想以上にひどい男の傷の状況に悩んだ挙げ句、信用出来る産科医の友人（中島）に助けを求めて応急処置、必要な薬は翌日にまりあ（仲間）に届けてもらう。
まりあだが、身重のままとりあえず同棲相手の成次（東）のマンションに戻ったものの、以前と変わらない彼の言動に再び不信感を募らせていた。しかもどうやら今度は、危ない薬にも手を出しているらしく、考えあぐねた彼女は一旦マンションを離れることにする。
一方、男の仲間のナオミ（Fayray）らは次なる計画を実行に移す関係で、ビクトルの殺害計画を実施後、行方不明になっている男の行き先を探していた。そして彼女が選んだ方法は理得の会社に潜入し、彼女の家を突き止めること。あっさり理得の家を突き止めたナオミが家に向かうとそこにはケガをしてソファに横たわる男がいた。男の眉間に銃を突きつけ、国の未来のために行うべく次の計画の話をするナオミ。果たしてそれが正しいことなのか、父親が死ぬ前に言い残した言葉と比べながら悩む男を残し、彼女は立ち去る。
また警察は、ビクトルが渡したディスクの内容などから、彼らの計画が集団テロの可能性が高いという情報を入手。関係する男を追うべく、接触する可能性が高い理得を監視する態勢に入る。会社で上司に自分のメールを盗み見られるなど、自分が特別な状況にいることを認識せずに入られない理得。そんな時、彼女の家を監視していた刑事から佐伯に、家に男がいるとの情報が入る。理得の帰宅を待ち、強引に家に押し入った佐伯が見たのは工作員の男ではなく、家出したまりあを探しに来ていた成次だった。いきなり拳銃を突きつけられて状況が飲み込めない成次だったが、理得の目配せでどうにかその場を取り繕う。ホッと胸を撫で下ろし、成次をそして続いて佐伯を送り出す理得。帰り際、佐伯は理得に工作員の激しい任務について話し、まったく同情する必要のないことを告げるのだが、彼女は自分から男とは関係ないことと「男の名前すら知らない自分」について切々と語るのだった。
２人が帰り、家の中に戻った理得の前に隠れていた男が出て来て姿を見せる。佐伯との話を聞いていた男は、いままで彼女を苦しめまいと自分のことを話さなかったと語りながら、自分の名前は「ユーリ・マロエフ」だと告げる。男から聞かされて嬉しい反面、これからのことを考えて複雑な気持ちの理得は、気持ちを断ち切り「死なないで下さい」と男に…。そう言った彼女は、男を家から逃がすために自らが警察の注意を引くべく外に出て行く。その後、誰もいなくなった家には理得が男にもらった手袋と交換に男の首に巻いてあげたマフラーが１つ、机の上に残されていた。
●第６話 あらすじ●
ユーリと名前を告げた工作員（金城）が完全に姿を消して理得（中山）は通常の生活へと戻るが、気持ちの上では彼の面影を抱きながら、もやもやした日々を過ごしていた。そんな中、理得の周りではユーリを追う警察の監視が一層激しくなり、会社から得意先まで警察が押し掛ける始末で仕事どころではない状態が続いていた。上司からもそのことを厳しく叱咤され、事情を説明するために自ら得意先などへ出向くも良い反応は得られない。理得の行く先々には、警察の佐伯警部（宮沢）が張り付いていた。
ある日の夜、勝手について来る佐伯を連れて理得が家へ帰宅すると一切の家具や家財道具が消えていた。ユーリが残した指紋を気にして、ナオミ（Fayray）がカイ（村田）に命じて盗み出したのだが、それを見た佐伯は証拠隠滅を図るユーリの仕業と指摘。そして佐伯は理得にユーリとの接触について本当のことを話すように迫るのだが、彼女は強く否定。諦め切れない佐伯は、窃盗事件として理得の家を隅から隅まで捜索するがユーリにつながる物証は得られなかった。
一方、成次（東）のマンションを出たまりあ（仲間）の前に、突然成次が姿を現す。今回も甘い言葉でまりあに言い寄る成次だったが、まりあの決意は固く、一向に戻る意思を見せる様子はない。そして２人は子供のことをめぐってもみ合いになり、階段で足を滑らせたまりあはそのまま転落。焦った成次は、ケガをしたまりあを放ってその場を立ち去ってしまう。理得はまりあが運ばれた病院へ急いで駆けつけるが、幸いに母子共に命に別状はないとのこと。この一件で完全に目が覚めたまりあに、理得は胸を撫で下ろすのだった。その足で理得は成次にそのことを伝えに行くが、彼の中ではまりあから理得へと新たな計画が渦巻いていた。
家から一切の家財道具が消え、母親の遺影までもなくなったことで理得はその報告に母親のお墓を訪れていた。彼女がお墓の前まで来た時、置かれた１つの包みに目が入る。気になって手に取り中身を開くと、消えたはずの母親の遺影が入っていた。理得はユーリの仕業と直感し、気持ちが温かくなる。その後、仕事の面でも会社で優しく仲間に迎えられて少しずつ気持ちも元のように戻り始めていた。
理得の家を出て、ナオミら仲間のところで傷を癒すユーリ。近い内に国の大佐がやってくる情報も舞い込んで、彼を含めて新たな計画の準備を進めていた。そのデモンストレーションとして、ユーリは簡単な爆弾を組み込んだ起爆装置を製作。ナオミは、その装置を組み込んだ宅配便をユーリに内緒で理得の家へ送り付ける。
そんな矢先、会社で理得のメールアドレスに１つのメールが舞い込む。内容はユーリと思われる「傷兵」を名乗る者からで、いままでのお詫びの品を送るというものだった。その日、帰宅した理得は家の前に置かれた荷物を発見し、急いで家の中へと持ち入る。その頃、ナオミからことのすべてを知らされたユーリは、止めるのも聞かずに急いで理得の家へと走る。しかし理得は、荷物を開いて送られて来た中身のティーセットを１つずつ確かめながら手に取っていた。最後の一つを手に取った時、箱の中に仕掛けられた装置のタイマースイッチが入る。その直後、家の中に飛び込んで来たユーリは驚く理得を抑えながら装置を止めようとするが、無情にもタイマーは０を指し、それを告げる電子音が。しかし装置は作動せず、中身を開いたユーリが見たものはダミーの爆弾を知らせる１枚の紙。ナオミにはめられたのだとうなだれるユーリに、わかのわからない理得。その後、落ち着いた理得はユーリに不満をぶつけるが、最後には「でも大切な人だから」と。その後、電話が鳴り、身の危険を感じたユーリは理得の手を取って家の外へ。実はその電話の主は成次だったのだが。
理得の家を電話をし、新たな計画を進めようとしている成次。そして仲間よりも理得を取ったユーリに制裁を加えようとしているナオミら。そんな中、理得とユーリは２人で手を取って薄暗い夜の闇へと足を踏み出そうとしていた。
●第７話 あらすじ●
理得（中山）の身を案じたユーリ（金城）は、彼女を連れて逃亡。仲間を裏切って一緒にホテルの一室に身を隠す。不安そうな理得を前にして、ユーリはそこで初めて母国に残して来ている母親と兄妹たちが政府に捕われていることや、愛する家族を守るために国から与えられた任務を遂行しなければならないことなどを打ち明ける。そして理得に「巻き込みたくなかった」と優しく告げるユーリ。最終的に任務の目的こそ聞けなかったものの、理得はユーリの口から国の家族のことや、いかに自分のことを考えているかを聞いていままでのもやもやした気持ちが晴れてゆく。しかしその頃、ナオミ（Fayay）とカイ（村田）は、仲間を使って姿を消した理得の行方を追っていた。そうするうちに妹のまりあ（仲間）の存在に目を付ける。
また、ユーリを追う警察の佐伯警部（宮沢）は必死の捜査の結果、ビクトル（ジョニー吉長）に関する情報の中からようやく家族の情報を入手。男の名前が「ユーリ・マロエフ」ということを突き止める。しかし佐伯の上司は、彼がユーリを追う際に理得に深く接触し過ぎていることを厳しく追及。今後、やめなければ事件の捜査から降ろすことを宣告する。
理得とユーリが潜伏するホテルの部屋にけたたましく１本の電話。ユーリは強く警戒するが、電話はまりあが入院する病院の医師・佑子（中島）からで、まりあの周りに不審な男がうろついていると連絡して来たのだった。理得を狙う仲間の存在を警戒したユーリは、それを確かめるためにホテルの部屋に理得を残して病院へと急ぐ。まりあの病室の前で男を発見し、無理矢理非常階段へ連れて行くが、男はユーリの仲間ではなく成次（東）。ユーリは成次にこれ以上付きまとわないように警告し、彼を一撃してそのまま姿を消した。ホテルの部屋で待つ理得だが、まりあのことが心配でいてもたってもいられずに部屋を出て、病院へと急ぐ。病院でまりあの無事を確認した理得はホッと胸を撫で下ろし、妹との時間を過ごす。 一方、入れ違いに１人でホテルの部屋に帰ったユーリは、待ち構えていた国の大佐を含むナオミら仲間に取り囲まれて危険な状況に。大佐から理得の家の爆弾事件のことを追求され、一般人への攻撃が今後の作戦の邪魔になるからと釈明。そして拳銃の銃口を自らのこめかみに突きつけて身を持って国への忠誠を誓う。大佐はユーリに銃口を降ろすように言い、作戦の第一段階の実施を宣言する。その後、理得は佑子を通してユーリからのメッセージを受け取っていた。メッセージには、勝手に部屋を出るなということともう心配はなくなったことが書かれていた。
その頃、佐伯は警察が傍受したユーリの祖国・ユーラル共和国の国営放送の傍受記録から衝撃的な情報を入手していた。また理得も、ユーリから聞いたユーラル共和国のことをインターネットなどで調べ、なんとかして国にいる彼の家族に連絡が取れないか八方手を尽くすものの国交がない国のことでどうにもならない。そこで理得は、佐伯から情報がもらえないかと、先日の家財道具盗難事件のお礼と称してそれとなく電話をかける。その後、佐伯は先程入手した情報を持って理得の家へ。理得にユーリへの感情がないことを確認し、その情報が載った１枚の紙を見せる。紙にはユーラル共和国・国営放送の傍受記録として、昨年の12月25日に国に対する背信行為を行った数十名を処刑した旨が記されており、その中にはユーリの家族と思われる３人の名前もあった。名前に続く「公開銃殺刑」の文字を見ながら佐伯の前では必死に平静を装うとする理得だったが、ショックで思うように身体が動かない。佐伯は理得の異常に気付きながらもなにも言わずに家を出て外に張り込む。案の定彼女は外出し、タクシーに乗り込もうとする。理得がユーリに会うことを察した佐伯は急いで後を追うとするが、理得からの通報で駆けつけた上司に邪魔をされて出足をくじかれてしまう。
とりあえずは誰もいない倉庫にユーリを呼び出した理得。理得に大事な話があるからと呼び出されたユーリはわけを訊ねるが、理得の口から告げられたのは国に残された家族がたどったといわれる衝撃的な事実だった。信じられない思いで理得の話を聞いて、力なくその場に崩れるユーリ。泣き叫んで理得の胸にもたれるユーリ。そんな中、いつの間にか倉庫の扉が開いて、こうこうと照らされたサーチライトが寂しげに２人の影を作っていた。
●第８話 あらすじ●
理得（中山）から祖国の家族が処刑されていた事実を知らされたユーリ（金城）は、ショックのあまり言葉を失い茫然自失。理得の胸にもたれて号泣しながらようやく落ち着きを取り戻した彼は、今後の自分の生きる道について考えるべく一人になりたいからと一旦は理得の前から姿を消した。そんなユーリを心配そうな目で見つめる理得。一方、警察ではユーラル共和国の政務次官訪問に関する情報を受けて、相変わらず命令を無視して１人でユーリの行方を追う佐伯（宮沢）は立場上窮地に立たされていた。
理得がユーリと別れて家に帰ると、妹のまりあ（仲間）が待っていた。自分のいない間にすっかり変わった家の中の様子と、疲れ切った姉の表情を心配してまりあは声をかけるも肝心の理得は上の空。その後、思い悩んだ理得は警察に佐伯を訪ね、現在の時点でユーリが警察に逮捕された場合の処分について聞くのだが、佐伯の口から告げられたのは使い捨ての兵隊の「死」というあまりに哀しい工作員としての運命だった。
また、ユーリは暗い気持ちのまま仲間のいるアジトのマンションに帰っていた。マンションに置かれたパソコンで祖国の情報を引き出そうとするユーリに不審を抱いたナオミ（Fayray）は、警察にユーリの家族の処刑を伝える国営放送の内容が漏れている可能性と合わせてユーリの様子を大佐のブコレス（マイケル・スカリー）に告げた。ナオミの話から、唯一の留め金の家族を失い寝返る可能性を考えてユーリの処分を検討するブコレスは、彼の忠誠を試すべく偽物の家族からの贈り物を見せる。贈り物を前にして命の危険を悟ったユーリは感情を押し殺しながら、家族の安否を疑っていないように平静を振る舞う。そんなユーリの後ろには、ブコレスの拳銃が目前に迫っていた。
警察に佐伯を訪ねて、成次（東）がやって来ていた。成次は先日まりあを訪ねた病院で殴り倒された事件のことを話し、佐伯からユーリに関する情報を聞き出そうとする。成次からの情報を受けて、その足で理得の家を訪ねた佐伯は彼女にユーリと接触している事実を言及。理得は少し考えた後、いまはなにも言えないと謝るのだった。
自分の前から姿を消してから連絡が取れないユーリの身を案じた理得は、暇を見て彼の携帯に連絡を入れるもいつも留守電でつながらない。そんな自分の様子を心配するまりあにユーリのことを聞かれても肝心なことまでは話せず、いらいらはつのるばかり。そんな折、居ても立っても居られない彼女は、インターネットで「ユーラル友好協会」のサイトを見つけてアクセスし、相手先から接触を求めるメールを受け取る。実はこのサイトはナオミらが仕掛けた偽サイトで、メールでの接触も理得の命を狙って彼女が仕組んだ罠だった。そうとは知らない理得は、翌日にメールを送った相手に会うがそれはもちろんナオミ。言葉巧みに理得をアジトのマンションへ招いたナオミは、彼女に飲ませるべく毒入りのコーヒーを準備する。
理得の留守中、一人で家にいたまりあは突然訪ねて来た成次と会う。ドア越しに成次と話をしたまりあは、理得がいつも会っている男が指名手配の殺人犯だということを知らされ愕然とする。
ブコレスに拳銃を突きつけられ、国への忠誠を試されたユーリは家族への思いを断ち切ってまで自分のやるべきことを強く誓ったことでどうにか命の危機は脱していた。その後、街へ出たユーリは、携帯の留守電に録音されていた理得からのメッセージを受け取っていた。メッセージの内容から理得がナオミと会うことを悟ったユーリは、携帯でナオミに理得に手を出さないよう連絡を取るも聞き入れられない。ユーリは急いで２人のいるマンションに向かって走り出すが、到底間に合う距離ではない。最悪の結果を予想しながら、ユーリが近くの交差点に差し掛かった時、目の前に理得が現れる。マンションの部屋の中にあった「ビックマウスシステム」のファイルに不審を持った理得が、ナオミの罠を察知して逃げ帰っていたのだった。 しかし悪いことは重なるもので、交差点で向かい合う２人の後ろにはそれぞれ佐伯の乗ったパトカーと、理得を追って来ていたナオミの車が付けていた。ユーリの後ろ姿を確認しこちらへと向かって来る佐伯、そして理得に照準を合わせて静かに拳銃を構えるナオミ。直後、ナオミの拳銃が火を噴くと同時に、力一杯理得を押し倒すユーリ。運良く弾はそれて２人は一緒に道路へと倒れるが、同時にユーリの姿を確認した佐伯が拳銃を構える。しかし人がごった返す街中で思うように発砲することは出来ない。そのせいで２人は逃走。ひとまずホテルへと身を潜める。一方、ナオミはユーリの人質としての理得の命を狙ったことでブコレスから叱咤を受けていた。
ホテルに入ってなぜだか笑いが止まらない理得。あまりに呑気な理得に、信じられない思いのユーリ。自分の身ばかりを心配し、己が死ぬことへの実感を現さない理得に、自らが愛する彼女を失うことへのつらさを伝えるユーリ。「ユーリ…」、名前を呼んで自分も思いを伝える理得。お互いの思いを確認し、激しく愛しあう２人。小鳥のように唇を重ね合いながら、時間だけが静かに過ぎてゆく。
●第９話 あらすじ●
口封じのため、ナオミ（Fayray）に殺されそうになった理得（中山）。同時にユーリ（金城）と共に警察にも追われることになるが、どうにか逃れて束の間の休息を楽しむ２人。「誰も追いかけて来ないところに行きたい」と言う理得に黙って肯くユーリ。「これが最後」と寂しく呟くユーリに理得は複雑な思い。そんな時、ユーリの携帯電話にナオミから電話が入り、それを聞いた彼は急いで車へと走る。理得には残るように言うユーリだが、彼のことが心配な理得は無理矢理付いてゆく。ついた先の河原で彼女に車の中で待つように言い残し、河川敷の方へ歩いてゆくユーリ。不安な彼女が車から降りた瞬間に、近くで爆発事故が発生する。破壊された倉庫を前に茫然と立ち尽くすユーリ。駆け寄る彼女の手を引いて一度は立ち去りかけたユーリだが、近くにいた親子が巻き込まれ、子供は軽傷、父親はかなりひどい傷を負っているのを見てその場に残る。その様子を遠くで見ているナオミ。そしてケガをした２人を助けたユーリは、警察が来る前に現場から姿を消してしまう。
現場に１人残された理得は、事故の目撃者として警察署に呼ばれることに。現場の目撃証言などから佐伯（宮沢）は一緒にいたユーリのことを厳しく追求するが、理得はなにも答えない。結局、佐伯は彼女を警護という名目で監視することにする。家に帰った理得は妹のまりあ（仲間）からもユーリに深入りしないように注意されるが、聞く耳を持たない彼女にまりあは連絡用の携帯電話を渡すことにする。そして警察の尾行をまくために協力する。ユーリはブコレス大佐（マイケル・スカリー）から今後の作戦についての注意を受けていた。一向に詳しい内容を知らされず苛立つユーリに、黙って命令に従うように言い放つブコレス。今回の爆弾テロで、まずは警察の出方をうかがう計画らしい。その後、ユーリへの会いたさから危険を顧みずに彼らのアジトのマンションの前に立つ理得。しかし市民からの通報を受けて現場に張り込んでいた佐伯ら警察に見つかって、一緒に部屋へと侵入するも中はもぬけの殻。警察の監視を察知したナオミらは、既に別の場所の一軒家へアジトを移していたのだ。
佐伯から、その後の調査で爆弾の破片から犯人の指紋が検出されたことを聞かされた理得。ユーリが事故に深く関与していることを追求された彼女は、思わず現場でユーリと一緒だったことを話してしまう。ユーリの無実を信じる理得はそのことを佐伯に訴えるもまったく受け入れられない。その時、成次（東）が家を訪れて佐伯は家を後にするが、２人の話を聞いていた成次はユーリのライターを手に、理得をゆすろうとする。同じ頃、ユーリらは、ブコレスから爆弾テロの継続とこの計画に反対する副書記長の暗殺を命令されていた。まずは手始めとして、彼らはシンポジウムが開かれる国際会議場での爆弾テロを実行することになる。
爆弾事故でケガをした親子を病院へ見舞うユーリ。そのしばらく後に、理得も警護の名目で勝手に付いてきた佐伯を連れて親子を見舞いにやって来る。しかし病院での治療の甲斐もなく、父親は亡くなってしまう。なにも知らず無邪気に遊ぶ子供からユーリが来たことを聞かされた理得は、彼を探して街へと出て彼の携帯電話へメッセージを送る。その後、佐伯も子供からユーリのことを聞かされて、お見舞い品のおもちゃの飛行機から彼の指紋を検出。警察で鑑定の結果、爆弾事件で検出された指紋とほぼ一致する。
街でユーリからの電話を受けた理得は、彼の乗って来た車の中で再会する。爆弾事故に巻き込まれた親子の父親が亡くなったことを話して聞かせる理得。彼の無実を信じたい理得は事故の真相を警察へ言って話すように説得するが、逆に彼女を巻き込みたくないユーリはなぜか自分が実行したように答え、理得を突き放す態度へと出てしまう。祖国の子供たちのためには、罪のないこの国の人が犠牲になるのもやむおえないと言い放つユーリに、ショックを受け軽蔑の気持ちを現す理得。遠くにパトカーのサイレンの音が聞こえて車へ乗り込むユーリに、助手席のドアを開けてシートに彼にもらった手袋を置いて立ち去る理得。なにも言わず２人はそれぞれ別々の方向へ、歩き車を走らせ消えてゆく。
●第10話 あらすじ●
ユーリ（金城）の態度に失望し、決別を決意した理得（中山）は働いていたビッグマウスシステムを辞めて妊娠中の妹・まりあ（仲間）と静かに暮らすことに。そのまりあだが、いまだにしつこく付きまとう成次（東）に思い悩んでいた。成次が理得を脅す材料にしていたユーリの指紋の付いたライターを盗み隠したことがばれ、そのことも一つの不安材料になっていた。ユーリと別れても相変わらずの理得の様子に不安なまりあだが、きっぱり忘れると言い切られそれ以上はなにも言えない。そんな中、ユーラル共和国のウラノフ書記長が日本との国交折衝のため来日し、その会議の前に大使館で親善パーティーが開かれることに。本国で唯一の穏健派政治家であるウラノフ。佐伯（宮沢）ら警察はパーティーの席でのテロ活動を警戒、そしてユーリはナオミ（Fayray）ら仲間とパーティーでのウラノフ暗殺計画をスタートさせる。
変わらずしつこく付きまとう成次に、けんもほろろのまりあ。金をせびるも断られ、諦めて帰ろうとした成次は、突然現れた私立探偵に大金を渡され理得の縁談のための素行調査の依頼を受ける。実はその女性こそ、諦め切れず理得を狙うナオミ。一方、佐伯は理得の家を訪れて、パーティーに現れるかもしれないユーリのテロ行為を阻止するために彼女の同席を求める。しかし理得は、これ以上ユーリに関わることを強く拒んで「静かに暮らしたい」とパーティーへの同席を拒否する。
ユーリとの決別を決意した理得だが、ふと２人の思い出の教会を訪れては彼との日々を回想していた。そんな理得の様子を物陰から観察し、ナオミに報告する成次。理得が外出し、家にはまりあしかいないことを知ったナオミは、理得を苦しめるために仲間のカイ（村田）を使ってまりあを襲わせる。危機一髪、成次が助けに入るもまりあはお腹を強く打っており子供は流産。ナオミからその報告を受けたユーリは、平静を装うも内心は怒りに打ち震えていた。一方で責任を感じた理得は、佐伯に連絡し警察に協力することを決意。パーティーに参加する。
表では華やかなパーティーも、裏ではユーリらの手によってウラノフ暗殺の準備が着々と進められていた。そんな中、佐伯ら警察陣も客に紛れて潜入し、事件を警戒していた。パーティーに参加した理得は、佐伯からユーリの姿を探すように言われるが見つけられない。同じくパーティーに参加していたナオミは、その中に理得の姿を発見しユーリに告げる。複雑な思いのユーリ。その直後、ナオミが会場で小さな騒ぎを起こし、警察が気を取られた隙にウラノフが会場から姿を消した。喧騒の中、なにが起こったのかわからずその場に立ち尽くす理得の目には、優しい表情をしたユーリの姿があった。いつの間にか彼は姿を消すが、そんな理得の様子を見た佐伯は、緊急配備でユーリの行方を追う。同じ頃、会場の裏でウラノフに銃口を向けるユーリ。しかし「人の血で国の幸福を賄うことは出来ない」と銃口を下ろし、彼を裏口から逃がすことに。結局、パーティーでなにも起こらず拍子抜けする警察陣だが、佐伯は理得がユーリを見たことをすぐに言わなかったことを責める。ユーリの身を心配し「簡単に言えるわけない」と嘆く理得だったが、佐伯は逆にそれが彼の工作員としての身を危険にさらすことを指摘する。
落ち込んで歩いて帰る理得の前に、ユーリが静かに現れる。ユーリの優しい表情を指摘し、正直な気持ちを打ち明けるように言う理得だが、相変わらず彼の工作員として闘う決意は固い。様子を悟って「死ぬつもりなの？」と問い質す理得に「幸せになるように」とだけ言い残し、おでこにキスして風のように姿を消すユーリ。その後、ウラノフ暗殺計画を失敗したことで、ブコレス大佐（マイケル・スカリー）から責任を追及されたユーリは、自分の手で理得を殺すかこの場で射殺されるかの選択を迫られる。一方、一人で家にいた理得は１本の電話を受ける。電話の主のナオミから、思いがけずユーリが自分を殺しに来ることを知らされた理得の表情は固い…。
●最終回 あらすじ●
お腹の子供を流産してから、元気のないまりあ（仲間）。理得（中山）は、入院している彼女の病室を訪れて元気付けるも、逆にすべてはお姉ちゃんのせいだと責められてなにも言い返せない。見兼ねた理得は、音信不通の父親（田村）に連絡しまりあを元気付けてもらうことに。その後、父親と２人で話をする理得。奇しくも明日は理得の誕生日。命の天使、ガブリエル。父親の付けてくれた名前を、理得はそっと好きだと呟いた。
一方、ユーリ（金城）ら仲間たちはテロ行為の実行に向けて最終段階に入っていた。しかしその前にブコレス大佐（マイケル・スカリー）は、ユーリの忠誠を試すために理得を殺害するように命令する。そして佐伯（宮沢）ら警察では、ユーリの名前で届いた国際会議場でのテロ予告の対策に追われていた。同時にユーラル共和国の現書記長が危篤の知らせが入電し、いずれは軍事路線から国際協調路線へ変わるであろうユーラル共和国の動向も見守ることとなる。その足で佐伯は理得の家を訪れて、ユーリのテロ行為は許せないがその信念には共感を覚えることを伝え、だからこそ彼を捕まえたいのだと言い残し家を後にする。
理得を殺害するため、監視役のカイ（村田）を連れて彼女の家を訪れたユーリ。暗い部屋でユーリの姿を確認し事情をすぐに飲み込んだ理得は、最後に自分が彼を好きなことだけは伝えて信念のためにはやむを得ないと覚悟を決める。しかしユーリは理得を殺すことは出来なかった。そのことで自分の身を心配する理得に、大丈夫と言い残しユーリは彼女の家を後にする。表で待つカイには偽の理得の髪の毛を見せて殺害をほのめかす。その場では納得したふりのカイも実はすべてお見通し。しかし大佐への報告では、なぜか口裏を合わせるのだった。
病院を退院するまりあを迎えに行った理得は、病室で成次（東）と出会う。まりあの妊娠を受け入れて、いままでのことは反省し、改めて故郷で一緒に出直したいと言う成次。成次に流産のことを伝えていないまりあのことが気掛かりながら、気持ちを察した理得は笑顔で２人を送り出す。一方、ユーリは理得殺害報告のことをネタにカイから今後は自分の言うことを聞くように脅される。そして作戦実行のため、カイと一緒に現場に向かうユーリ。しかし着いた先は副書記長・ウラノフのいる国際会議場ではなく、親善のために訪れているウラノフ婦人のいる八景島の遊園地だった。ターゲットはウラノフではなくその婦人。今回の作戦は、ウラノフに最愛の家族を奪われる苦しみを味あわせることが目的だった。
まりあを送り出した病室では、理得が友人の医師・佑子（中島）から誕生日を祝われていた。一時の安らぎ、しかしそれも束の間、国際会議場で張り込む佐伯から電話を受けた理得は、国の書記長が死亡し政治が国際協調路線に変わることを知らされる。しかしユーリらがそれを知らされない限りはテロの危険性は消えないことを告げられ、その後新聞記事で婦人のことを確認した彼女は気になって遊園地へと向かう。現場では、ユーリとカイが洋上の船の婦人を狙うために狙撃の準備を進めていた。しかしカイは作戦の実行に非協力的。そんなカイにユーリは一旦、銃を向けるが、彼がナオミ（Fayray）から盗んだらしい計画の詳細を納めたディスクを受け取って、そのまま逃がすことにする。そして婦人暗殺のために一人で準備を進めるユーリだったが、思いがけずナオミから遊園地一帯に仕掛けられた大量の爆弾の話を聞かされて愕然。爆発までの猶予は、ナオミがスイッチを入れてから３分。今回の計画の中に一般市民と一緒に遊園地を爆破させることがあることを知らされて、思わずその場をあとにする。
理得から、遊園地の話を携帯の留守電のメッセージで知らされた佐伯は、上司が止めるのも聞かず現場へと向かう。現場では、駆けつけて来た理得が偶然にユーリと会っていた。彼女から国の政変のことを聞かされたユーリだが、彼にはこれからまだやらなければならないことが残っていた。祖国に残された子供たちを救うように、いまこの場所で命の危険にさらされている人たちを救うこと。ユーリからディスクの内容を解読することを依頼された理得は、これからもずっと彼について行くことを宣言。そのまま２人はキスをして、それぞれの場所へと向かう。その途中、同じく駆けつけて来た佐伯と鉢合せしたユーリ。まずはお互いに銃口を向かい合うが、ユーリがこれからやるべきことを理解した佐伯は彼を見送ることにし、同時に警察への応援を依頼する。得意のコンピュータの技術でディスクの内容を解読した理得は、電話回線を使って警察へメールを送る。しかしその現場をナオミに見つかって、深く追求されることとなる。一方、ユーリは洋上の船の甲板で、同席していた婦人を狙う大佐の銃を撃ち落とす。直後、甲板で警備していた警察に取り押さえられた大佐。ユーリの裏切り行為を受けて、理得を拘束していたナオミは爆弾のスイッチボックスを彼女の胸に押し当ててユーリにそれを撃ち抜かせようとする。
爆弾のスイッチが入り、爆発までの猶予は３分。その間にユーリが理得の胸に当てられたスイッチボックスを打ち抜かなければ遊園地は一般市民と共に爆破される。しかしそれは理得を命の危険にさらすことになる。思い悩み涙を流すユーリに、理得は優しく微笑んでそっとうなずき目を閉じる。爆発まで残り２秒…、直後ユーリの銃が火を噴いてスイッチボックスは理得、そしてナオミもろともその場に転がりすべてが終わる。倒れた理得を心配して急いで駆けつけるユーリだが、通報で駆けつけて来た警察の狙撃隊に脚を、そして「やめろ！」と叫ぶ佐伯の声もむなしく心臓を打ち抜かれて力なく理得の横に崩れ倒れる。「理得…」、ユーリの力なく呼ぶ声に答えるように、理得は一瞬目を開けて２人は横になったまま動かない。一方、佐伯は警察でユーリの亡骸を祖国に返すこと、そして病院に運ばれて危篤の理得のお腹にはユーリの子供がいることを聞かされる。
2000年12月27日。海外赴任でしばらく日本を離れていた佐伯は、久々の休暇を利用して理得の入院している病院を訪れる。医師の佑子から理得が男の子供を出産したことを知らされた佐伯は、同時に彼女が亡くなったことも知らされる。子供は彼女の妹のまりあが育てて行くことを聞かされて安心した佐伯は、お見舞いの花をベッドに備えて病院をあとにする。その帰りのタクシーの中では日本とユーラル共和国の交流を伝えるニュースが流れていた。そして春の息吹の中で理得の子供を抱いたまりあは、とびきりの笑顔で微笑んでいた。
